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広島市は2日までに、広島大本部跡地(中区)の被爆建物の旧広島大理学部1号館について「想定以上の劣化が進んでいる」と判断し、全面的に活用する方針を事実上、断念した。一部保存の手法に切り替えて検討するとみられる。
市によると2007年春から昨年5月にかけ、本部跡地の再開発事業予定者として1号館の活用を検討したアーバンコーポレイション(中区)などが調査。鉄筋腐食やコンクリートの劣化・ひび割れが深刻化し、耐震性能が極めて低い状況が判明したという。
昨年8月のアーバン社の経営破綻などで跡地利用計画が白紙に戻ったのを受け、2日、市民団体が自然史博物館としての活用を市に要望。市側は「深刻な劣化が進み、市民が利用する施設の設置は厳しい」と明言した。建物を所有する国立大学財務・経営センター(千葉市)の意向を確認したうえで、最終的に方針を決める。
今度こそ、都市機能のアップにつなげたい。広島市中区の広島大本部跡地(四・七ヘクタール)に教育施設などを整備する「知の拠点再生プロジェクト」の実現へ向け、学識者らによる選考委員会が民間の事業予定者を絞り込んだ。
選考委は応募した五つのグループの中から次点も選んでおり、市と広島大が今月末までに最終判断する。事業者が決まれば、本年度中に国立大学財務・経営センターから跡地を購入し、五年ほどで完成させるという。広島大が東広島市へ統合移転した後、十二年間も空き地になっている都心の一等地だけに、何としても踏み出してもらいたい。
跡地を安く取得できるように市などが仲介し、その見返りとして、敷地内に教育施設を建ててもらう仕組みだ。予定者に選ばれたのは、アーバンコーポレイション(中区)を代表とする五社の事業体。各種専門学校の「モール街」を提案するなど「知の拠点」を強く意識している点が特色である。
市と広島大が「必須施設」とした国際人材育成センターは六階建てで、平和科学などを研究する国際大学院と社会人再教育センターが入る。高層マンションを七百三十戸分建設するなど、採算性も重視した。参考価格で七十億四千万円とされる土地建物取得費を含め総事業費三百六十億円のビッグプロジェクトだから当然だろう。
選考委では、最先端がん治療施設と高層マンションを核とする次点のほうを強く推す意見も出たという。採算性に加えて、都心の拠点性をどう高めるかを考慮し最終判断をしてもらいたい。
気になるのは、選考委が非公開だったことだ。企業秘密に属することも選考対象になったから、公表できなかった面もあろう。だが、都市機能にかかわる重要な事業である。税金を投入しないとはいえ、事業着手前に市民の意見を聞き、計画に反映する仕組みが要る。
周辺の商店街と連携したにぎわいづくりも心掛けたい。その仲介をするのは広島市の役目だ。跡地内には被爆建物の旧理学部1号館がある。老朽化し、耐震性の問題もあるが、骨格と外観はできるだけ保存するよう、さらに知恵を絞ってほしい。
芸術文化拠点、がんセンター、県庁の移転先などの構想が浮かんでは消えた、いわく付きの土地である。地元六大学の学長が提唱した今回のプロジェクトを逃したら、一体的な活用は遠のく。