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旧広島市民球場の跡地に、どうやってにぎわいを取り戻すか。市の検討作業が中断状態になっている。市の案に地元商店街などが異論を唱え、市議会も関連の予算を認めなかったからだ。
ただ双方の考えは、水と油ほどは離れていない。それなりの努力によって、着地点は視野に入ってくるはずだ。市中心部の貴重な一等地である。ずるずると結論を先延ばしにしてはいけない。
跡地の活用には幾つかの前提がある。まず都市公園法による制限を受ける。次に球場以上の集客、つまり年間百五十万人を超えるにぎわいの確保。そして民間による整備と運営である。
それを踏まえて市が提示したのは、大部分を「市民広場」とし、その奥に「折り鶴ホール」を、東側に、広島商工会議所の新ビルや劇場をまとめるプランだ。
公募による民間事業者の二案を折衷し、さらに商議所の案を加味して描かれたデッサンである。
「広場」については、市と、反対の人たちの考えは基本的に同じといえよう。都市公園法によって大型商業施設は難しい。しかしイベントがしやすい広場にして「行けば何かやっている」と市民がわくわくするような空間にすれば、にぎわいはおのずから生み出される、との考えだ。
隔たりがあるのは「折り鶴ホール」である。プランでは、内外から寄せられた折り鶴一年分を展示し、量を実感してもらう。平和に尽くした人々の顕彰もする。新設のNPO法人が寄付を募り、建物を整備するという。
これに対し「なぜ、ここに大量の折り鶴か」と納得できないのが反対の人たちである。
「原爆の像」そばには専用置き場があり、わざわざ離れた場所まで足を運ぶ人がいるだろうか。復興のシンボルだった球場の跡地なら、もっと動的で市民のエネルギーを感じさせる空間にすべきで、折り鶴の静的なイメージはそぐわない。反対がある中で寄付を募るのも現実的ではなかろう…。こんな意見に集約される。
反対の人たちがフラワーフェスティバル会場で行ったアンケートでは「規模縮小」の声が多く、中国新聞のウェブ調査では「不必要」が多数だった。市の言う理由が、多くの市民の心にすとんと落ちてこないからだろう。なかなか理解が得られないなら、無理押しすべきであるまい。
市と反対団体は、とりあえず「広場」部分のにぎわいのイメージを出しあったらどうか。市民の関心は高い。野外コンサートやマーケットなど具体的な像を示せば「ほかにもこんなことが」と新たな発想も寄せられるだろう。
一致できる部分から双方が歩み寄る。そこから事業を前に進めようとする力が生まれないか。その過程で、折り鶴ホールについてももう一度すり合わせをしようとの機運が芽生えてくることを期待する。流れが見えてくると、一部予算を否決した議会も新たな対応を迫られるはずだ。
広島市が1月末に決定した市民球場(中区)跡地利用計画をめぐる議論が活発になってきた。12日、市中央部商店街振興組合連合会など11団体の15人が集まり、市に見直しを求める協議会を発足。「計画は集客力がない」として署名活動や市議会請願を予定しており、16日からの定例会の審議にも影響しそうだ。
メンバーは同連合会のほか、本通商店街振興組合▽そごう広島店▽リーガロイヤルホテル広島▽デオデオ本店▽地元の3町内会と3社会福祉協議会―の幹部や役員で、同日の発足会では設立趣意書と請願書を採択した。
趣意書によると、大半を緑地・公園とし、折り鶴展示施設などを設ける市の計画には「広島の元気につながるのか疑問」と主張。住民や商業関係者と協議したうえで全面的に修正するよう、市議会に請願するという。
広島市は30日、「市民広場」などを中心にした市民球場(中区)の跡地利用計画を原案通り決定した。市議会から疑問の声が出ていることも踏まえ、今年秋の着手を目指している球場の解体費は、新年度当初予算案への計上を見送る。
計画によると球場跡地を中心とする5.5ヘクタールを活用。約8割は「市民広場」「市民の森」とし、折り鶴の展示施設を置く。球場のライトスタンドの一部のほか、将来的な劇場や文化発信施設のスペースとする内野一塁側スタンドの一部も当面は残す。広場などは2012年度の利用開始を目指している。
当面の事業費は33億6000万円を見込む。ただ、にぎわいに結びつく集客力や折り鶴施設への疑問が原案段階で市議会から相次いだため、2月に提案する当初予算案には緑地整備などの調査費を盛り込むにとどめる。
広島市民球場(中区)の跡地利用について、秋葉忠利市長は27日の定例会見で、「球場は復興のシンボルだった。官民一体事業として、一年中市民が使えるスペースにしたい。屋台を復活させるイベントも検討している」などと、戦後の復興の原点である屋台村イベントなどを広場で開催し、多くの市民を集める考えを示した。
今月19日にあった特別委で市議から市の案に反対の声が上がったことについても「コンペをして選考委が2優秀案として残したもの」と計画案を尊重する姿勢を示した。市議からは跡地の集客力や千羽鶴の展示・保存施設の建設に疑問の声が投げかけられていた。【井上梢】
広島市は19日、スタンドの一部保存を盛り込んだ市民球場(中区)の跡地利用計画案を市議会に提示した。最も広い面積を占める「市民広場」は企業へ命名権を売却して事業費の一部とするなど、財源の確保に向けた方針も明らかにした。
市民広場は周辺の「市民の森」を含めると約4.5ヘクタール。約1万人の利用を可能とし、2012年度の利用開始を目指す。復興の象徴として保存するライトスタンドの一部を観客席として活用し、野外イベントなどを誘致する。広場の一角には国内外から寄せられた折り鶴を展示・保存するホールを設ける。
当面の整備費は33億6000万円。市は球場改修などの目的で積み立ててきた「市民球場基金」から11億4000万円を拠出する。さらに市民広場の命名権収益を約8億円かかる広場と森の整備費の一部に見込むほか、スタンドのいすなどをオークションで売却する案も浮上している。